まぶたの病気(眼瞼疾患)
まぶたは表面は皮膚で覆われているので炎症を起こしたり腫瘍ができたりします。多くは眼科で対応しますが、中には治療に皮膚科医との協力が必要な場合もあります。まぶたの中で炎症起こすのがものもらい(霰粒腫・麦粒腫)です。薬による治療や外科的治療を行います。
最近増えているまぶたの炎症に帯状疱疹があります。片方のおでこからまぶたにかけて痛みを伴った水疱ができます。これは帯状疱疹ウイルスによるもので、炎症を起こした側の黒目にまで炎症が及んで視力障害を起こすことがあるので注意が必要です。発症してしまうと主に皮膚科での治療になりますが、予防のためのワクチンが受けられますので高齢の方は内科にご相談ください。
乳幼児ではまぶたが内側に倒れ込んでまつげが黒目の表面をこする眼瞼内反症が起こることがあります。学校健診で指摘されることもあります。年齢が上がってくると自然に治ることも多いので眼科医と相談してみてください。
高齢になってからの眼瞼内反症は手術が必要になることがあります。また、眼瞼下垂もしばしば手術は必要になることがあります。ただし、原因や程度によりますので、まずは眼科でご相談ください。
黒目の病気(角膜疾患)
黒目は外界に露出しているのでゴミが入ったり、傷が付いたりします。ゴミが入っているときはゴミをとり、傷が付いているときは目薬などで傷が治る手助けをします。傷に細菌が付くと強い炎症を起こして治るのに時間がかかったり、治った後も黒目に濁りを残して視力障害が残ったりするので注意が必要です。
黒目の傷で注意が必要なのはコンタクトレンズが原因になるものです。特に酸素透過性の悪いレンズでは傷が付きやすくなるのでコンタクトレンズの選択には眼科医のアドバイスを受けることをお勧めします。レンズの手入れが悪いとアカントアメーバや緑膿菌のような治療が難しく後で重篤な視力障害を残すような病原体に感染してしまうことがあるのでコンタクトレンズを装用している方は注意しましょう。
その他、角膜ヘルペスや水疱性角膜症といった重症化すると角膜移植が必要になるような病気もありますので、目の痛みや、異物感が続くようなら早めに眼科を受診しましょう。
白目の病気(結膜疾患)
代表は結膜炎です。細菌、ウイルスと言った病原微生物に感染して充血、異物感、腫れなどを引き起こします。細菌感染の場合は抗生物質の点眼で比較的短時間で多くは治ります。一方、ウイルス性結膜炎、特にアデノウイルス結膜炎(流行性角結膜炎・咽頭結膜熱)やエンテロウイルス結膜炎(流行性出血性結膜炎)といった結膜炎は感染症予防法上五類感染症に指定されており、さらに学校保健法上でも出席停止となる感染症にも指定されています。これらは感染力が強く、接触感染ですので点眼後など目を触ったらよく手を洗うこと、タオルは別にするなどの感染予防が必要です。家族全員がかかってしまうこともありますので注意しましょう。治るまで1週間~2週間といった一定の日数がかかってしまいます。
急に目が真っ赤になる病気の代表のひとつが球結膜下出血です。原因は特定できないことが多いのですが、ときどき高血圧によって発症したと考えられる方がいらっしゃいます。必要な場合は内科にご紹介し、血圧の治療を受けていただきます。
涙の病気
涙が少なくなる病気がドライアイです。涙の量や質を調べてその程度や種類により点眼加療や涙の管を医療材料でふさぐといった治療を行います。点眼治療で一旦、症状が軽くなっても目薬をやめてしまうとまた元に戻ってしまうことも多いので注意が必要です。さらに唾液まで少なくなったり消化管液分泌が少なくなったりという難病に該当するような重症例もありますので、その場合は内科と一緒に治療していきます。
逆に涙があふれてしまうという患者さんもいらっしゃいます。これも様々な程度や要因がありますが、涙の管が詰まってしまっていることがあります。涙の管を定期的に洗う事もありますし、完全に詰まってしまっているときは手術が必要になることもあります。その場合は種々のできる施設にご紹介をしています。
茶目の病気(ブドウ膜炎)
茶目は目の中にあり、前部の虹彩と後部の脈絡膜に分かれています。ここで炎症を起こすと虹彩炎、ブドウ膜炎と呼ばれる疾患を起こします。目が赤い、目がかすむといった症状で発症します。原因は様々ですが、内科的な病気から起きることも多く、まず原因を調べるために採血をさせていただきます。そこで内科的な病気が特定されれば内科で治療をしてもらうことになります。目の治療としては目薬による治療で症状が軽快することがほとんどです。ただし、重症例は専門の医療機関にご紹介し、治療をしてもらいます。時には入院が必要となります。
また、重症のブドウ膜炎では眼圧が上がってしまう緑内障を起こすことがあり、眼圧を下げる治療が必要になる場合もあります。ブドウ膜炎は内科的疾患や体質が原因になっていることも多くを再発がしばしばあるので一度治っても定期的な眼科受診をお勧めします。
水晶体の病気
目の中には水晶体と呼ばれる透明なレンズがあり、目のピント合わせをしています。この水晶体が透明でなくなるのが白内障です。光の通り道に濁りがあるのでうまく光が通らなくなり、視力でない、かすむ、まぶしいといった症状を起こします。濁りが軽度であまり日常生活に支障が無ければ目薬で進行を抑えながら経過を見ていきますし、見づらくて困ることが増えてくれば手術を考えます。手術が必要なときは当院では現在白内障手術を行っていないので手術できる施設をご紹介しています。からだに問題が無ければ通院で手術を受けられますし、内科的な問題などがある場合は入院での手術になります。入院といっても現在では入院期間はそれほど長くはありません。手術が終わればまた当院で経過を見させていただきます。
つながる大切な「目」。
長く守っていけるように。